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活きる

To Live / 活着

1994 / 中国
監督
張藝謀 (Zhang Yimou)
出演
葛優 (Ge You)
鞏俐 (Gong Li)
牛犇 (Niu Ben)
郭濤 (Guo Tao)
姜武 (Jiang Wu)
劉天池 (Liu Tianchi)
董飛 (Deng Fei)

長らく日本未公開になっていた作品。杭州出身の作家ユイ・ホアの同名小説を映画化したもので、戦中から戦後の激動の中国を生き抜く家族の物語だ。

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時は1940年代。家の道楽息子・福貴(グォ・ヨウ)は、妻の家珍(コン・リー)が止めるのも聞かず、博打で全財産を失ってしまう。再起をかけ借金を申し込むが、代わりに影絵の道具を与えられ、各地を巡業していたある日、国民党軍と共産党軍の内戦に巻き込まれてしまい、やっとの思いで解放される。

1958年から始まった大躍進政策は、老若男女問わず不眠不休の労働を強いられていた。そんな折、眠気に耐えきれず学校の塀のそばで寝ていた息子の有慶(ドン・フェイ)が、区長の運転する車のせいで死んでしまう。区長は昔、影絵の巡業をともにした春生(グオ・タオ)だった。

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1960年代。幼い頃高熱で声を失った娘の鳳霞(リウ・ティエンチー)に縁談が持ち上がる。やがて鳳霞は妊娠。しかし文化大革命の時代、医者は反動分子と見なされ病院には残っていない。男の子が生まれたが、鳳霞は大量に出血し、処置も受けられずに命を落とす。二人の子供を亡くした福貴と家珍だが、娘婿の二喜(ジアン・ウー)と残された孫息子と共に活きていくのだった。

この作品を見て、チェン・カイコーの《さらば、わが愛》を想起した。どちらも動乱期の中国が背景にあり、その中を逞しく生きる人々を描いているが、京劇という華やかな要素がない分、本作のほうが幾分地味(こちらは皮影劇が用いられているが)。そして“革命”に対する批判をより明確に訴えている。主人公が活きるために付けた知恵――それは、決して体制に逆らわないこと。たとえ個人の感情をうち殺してでも。だが人はどんなに抑圧された中でも、ささやかでも良い、幸せを見いだすために活きるのだ。

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