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2007-05-29 (Tue)

年金制度と不安を煽る報道

“消えた年金”ということで、社会保険庁の記録管理のずさんさが話題になっている。その数、なんと5000万件。どこから出てきた数字なのかは、実のところ定かではないけれど、もし本当にこれだけの記録が給付につながっていないとすると、それは大問題だ。

年金制度が発足したのは、昭和17年。まだ戦争中のことである。その後、国民年金が昭和36年に発足。保険料は100円だった。どちらも発足当初は、今のような超高齢化社会になるとは予測できなかっただろうし、まして老後の生活がこれほど年金に依存したものになるとは、保険料を納めるほうだって夢にも思わなかったはずだ。

それがどうだろう。いざ、自分が年金を受け取る年齢になって、いかに年金について深く考えず、疎かにしてきたことか。この間、幾度となく改悪を繰り返してきた年金制度。そんなこととはつゆ知らず、江角マキコの一件があるまでは、社会保険庁の存在すらろくに知らなかった人も多く、年金についての国民的議論を先延ばしにしてきた結果、現在に至ったのだ。

だから、国民にも大いに責任はある。
若い頃から一所懸命に働いてきた人は、おそらく5000万件とは無関係。結局のところ、職を転々とし、まるで年金に関心を示さなかった人たちが今頃慌てふためいているのだ。人にはいろんな事情があるから、一概にその人たちを責めるわけにはいかないが、そういう一面もあると思う。

それにしても、徒に不安を煽る一連の報道は、如何なものだろう。混乱を招き、やがては年金制度そのものに不信を招き、ますます納付率は下がり、引いては給付額が下がり、いつか年金だけでは暮らしていけない時代が来るのではないだろうか。だいたい、今現在でさえ、国民年金を満額受け取って、月額7万に届かない。これじゃ、保険料を納めずに生活保護を受け取ったほうがよほど額が良い。

社会保険庁の組織の在り方ばかりがクローズアップされるが、まずは年金制度を魅力あるものにしなければ、根本は何も変わらないのだ。

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