2001-02-08 (Thu)
悲しき企業戦士
「会社をリストラされた」と言うと、クビになったことを意味しますが、厳密には「会社のリストラの一環で解雇された」と言うのが適当ですね。完全に日本独自の使い方。
リストラクチャリング(Restructuring)とは、「再構築」って意味ですが、近年使われるときは、ほとんど“企業の”再構築を指します。つまり、陰りの見えた企業が経営を立て直すために、設備投資・技術・人材などを合理的に見直して、再編成することを言います。ムダがあれば切り捨てていくのです。
ムラ社会の中で、組織に忠実であることを教え込まれた日本人は、決して企業には逆らわず、20年も30年も勤め上げるのがこれまでの形態。しかし今、会社に忠誠を誓った世代が、まさにジャマにされています。なぜジャマなのか? 「高給取りだから」です。
最新のOA機器には弱く、考え方も古く、大した生産性もない。なのに、人件費ばかりやたら掛かる。当然、企業側からすれば、これ以上のムダはありません。「リストラされた」ってことは、つまりムダな人材だったというわけですね。
でも、当人からすれば、これほどの不合理はありません。
子育て、老後の貯蓄、家のローン etc... いちばん金の掛かる時期に、人件費が高いからと言って、経験も実績も無視して、バッサリと首を切られるんですから。堪ったもんじゃありません。今まで積み上げてきたものは何だったのか?
しかし、これが資本主義社会の現実であります。何事も資本家の都合で動いているのですから。そして、そこまでしてもリストラに失敗した企業が、今日もどこかで倒れて、路頭に迷う労働者をまた生み出す。
一見、とても平和に見える日本ですが、実は戦々恐々としているのです。