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2010-05-25 (Tue)

ある一面だけで見下してはいけない

スーツの上着を着て、ややもすると湯気が立ち昇りそうな、見るからに暑がっている小太りの中年男性が、僕の隣に座りました。
「む・・・・・臭い」
だんだんと電車の中に汗臭い人が増えるんですね。今年初めて“夏”を感じた瞬間です。


何をやっても要領の悪い人について、ずいぶん前に書いたことがありますが、今まで出会った中でも最上級のダメ男くんが近所のコンビニで働いていました。

髪の白髪具合、肌の張り・ツヤから見て、おそらく僕と同じくらいの年齢と思われるその人は、胸に「研修中」のバッジを付け、明らかに不慣れな感じでレジを担当していました。
「お弁当は温めますか?」と聞いたまま一向に温めてくれず、袋詰めも大きさの目算を誤り何度もやり直したり、途中で代金を渡すと、なぜか釣り銭を手に持ったまま作業してみたり。
丁寧に袋詰めしてるように見えたけど、待たせちゃまずいと思ったのか、最後のところでいきなり雑なの。サンドウィッチは袋の下のほうで潰れ、ペットボトルはてんこしゃんこ・・・。
指導している別の店員も、声を荒げることはないけれど、見るからに「こりゃ教えても無駄だな」という態度。

僕も一瞬苛つきました。もう少し手際よくできないのか、と。
だけどね、思ったんです。「この人はコンビニのレジには向いていないけれど、ほかのことなら僕より凄いところがあるのかも知れない」と。
だって僕がイチローと野球をしたら「チッ、下手くそ!」と思われ、羽生善治と将棋を指したら、間違いなく下手すぎて苛つかせることでしょう。僕が誰かより劣っていることなんて、無限にある。でも立つステージが違えば、もしかしたらイチローや羽生さんより勝るところが一つくらいあるかも知れない。野球や将棋だけで彼らから侮蔑されたら、やっぱり理不尽だよね?

そんな風に考えたら、たかがレジの手際を見ただけで、一瞬でもその人を見下してしまったことを、なんかすごく反省しました。

 

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