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トニー賞

このページにいらっしゃった方はおおかたご存じだろうと思うが、トニー賞についてざっとおさらいをしてみたいと思う。

アメリカン・シアター・ウィング主催によるアメリカ演劇界で最も権威ある賞。オン・ブロードウェイ(オフやツアーは含まない)で前年の6月第一週から5月第一週までに開幕した作品の中から、各部門4作品程度を対象に、10名ほどの選考委員によりノミネート候補が選出され、ブロードウェイの演劇関係者700人余の投票によって決定する。カテゴリーは時代とともに変化してきており、リバイバル賞などは、新作興行が困難になり再演ものが増えた比較的近年にできた。受賞者には、ハーマン・ロッシー による悲劇と喜劇のマスクが彫られた銀のメダリオンが授与される。授賞式は6月の第一日曜日。

正式名称はアントワネット・ペリー賞といい、アメリカ演劇界の功労者アントワネット・ペリーの功績を称えて1946年に制定された。発足より最初の十数年はホテルでの授賞式と晩餐会、ショーの一部を披露するという形式(ラジオ放送されていた)だったが、1967年に アレクサンダー・H・コーエン のプロデュースにより授賞式が初めてテレビ放映された。この時から会場を劇場(初年はシューバート劇場)に移し、華やかなショーが全米に紹介された。

日本でもNHKのBS2でトニー賞が放映されるようになり、僕も毎年のように見ているが、ノミネート作品のほかにゲストによるミニ・ショーが行われ、楽しみの一つだ。僕が見た中では'95年の授賞式でグレゴリー・ハインズネイサン・レーンが“僕らが歌うことのないブロードウェイ・ソング”と題して、女性のナンバーを二人で歌い踊るシーンが最高だった。

トニー賞の結果によっては、観客動員数に大きく影響するとあって大きな注目を集めるが、中には作品賞を受賞できなくてもロングランする作品もあれば、受賞しても早々クローズしてしまう作品もある。《ミス・サイゴン》《美女と野獣》などは良い例で、その年の受賞作《ウィル・ロジャーズ・フォーリーズ》《パッション》は短命だった。観客の好みやショーのスタイルの問題ではあるが、トニー賞を逃したからといって駄作とは限らないということだ。だが願わくば、優秀な新作がたくさん登場し、妥当な評価を受けて欲しいものである。

[1999.4.29]

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