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許されざる者

Unforgiven

1992 / アメリカ
監督
Clint Eastwood
出演
Clint Eastwood
Gene Hackman
Morgan Freeman
Richard Harris
Jaimz Woolvett
Saul Rubinek
Frances Fisher
Anna Thomson

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1992年度のアカデミー賞で作品賞をはじめ4部門受賞した西部劇。

1880年、ワイオミングの小さな町ビッグウィスキー。ある晩、娼婦が客にナイフで斬りつけられ、瀕死の重傷を負う。その場は保安官のリトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)が示談にしたが、気が収まらない娼婦たちは、斬りつけたカウボーイたちの命に賞金を懸けた。

3年前に愛妻を亡くし、子供たちと細々と農業をしているウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)のもとに、スコフィールド・キッドと名乗る若者(ジェームズ・ウールヴェット)が訪ねてくる。かつては札付きの悪党だったマニーに賞金を山分けしようと持ち掛けてきた。子供たちの将来のためにまとまった金が欲しかったマニーは、10年触っていなかった銃を取り、昔の仲間ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)を誘って3人でビッグウィスキーに向かう。一方、町ではリトル・ビルがやって来る賞金稼ぎを徹底して封じ込めていた。マニーたちは賞金を手にするが、ネッドが保安官に捕らえられてしまう――

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西部劇というと、決闘シーンをクライマックスに勧善懲悪ストーリーが定番だが、この映画は違った。主人公はかつての勇姿は見る影もなく、酒を断ち、亡き妻のために女を買うこともない善良な人物。保安官は、町を治めるために奮闘しており、暴力こそ使うが決して悪人ではない。カウボーイたちも根っから悪い奴らではなく、彼らに賞金を懸けた娼婦たちも自分たちの身を案ずればこそ。そんな中で起こる殺しは、見ている者に命の重さと暴力の虚しさを訴えかける。

純粋に活劇を楽しみたい向きには期待外れかも知れないが、重厚なドラマとして見れば、よく出来た作品。僕は好き。クリント・イーストウッドは監督としても素晴らしい勘を持っているが、演技にも並々ならぬ気迫を感じた。老いて銃の腕が落ち、馬に乗るのさえ危なげな彼が感慨深かった。

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