ビューティフル・マインド
A Beautiful Mind
- 2001 / アメリカ
- 監督
- Ron Howard
- 出演
- Russell Crowe
- Ed Harris
- Jennifer Connelly
- Christopher Plummer
- Paul Bettany
- Adam Goldberg
- Josh Lucas
1947年9月、ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)はプリンストン大学院の数学科に入学する。授業にも出ずに研究に明け暮れ、周りからは変人扱いされるナッシュだったが、ついに論文を書き上げた。のちの“ゲーム理論”だ。そして希望していたMITのウイーラー研究所に採用され、アリシア(ジェニファー・コネリー)との結婚も果たす。だが、米ソ冷戦時代、ナッシュの暗号解読の才能を見込んだ国防省・諜報員パーチャー(エド・ハリス)は、彼に国の極秘任務を依頼する。やがてナッシュの周囲には不穏な空気が漂いはじめ、次第に追いつめられていくのだった――
天才と呼ばれる人たちには、自己の世界へと没頭するあまり、他者からは狂気と映ることが間々ある。紙一重とはよく言ったものだが、この映画の主人公は、現実と妄想の区別がつかなくなってしまうという病気に冒される。精神分裂病である。僕はジョン・ナッシュのことも何も、まったく予備知識なく見たので、そのことが明らかになった時のドンデン返しは結構なショックだった。分裂病という精神世界の映像化は、自分の想像をはるかに超える。
1994年にノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュ。シルヴィア・ネイサー著の同名伝記の映画化だが、実際には妻とは離婚して再婚し、反ユダヤ思想の持ち主で、両性愛者であったらしい。それを知ると、すいぶん美化して脚色されているとも言えなくないが、僕同様、先入観なく見れば映画としてはとても楽しめるはず。さらに妄想と判ったあとからも、正気と狂気の境目を見定めんとして集中力は途切れず、最後まで一気に見られた。
学生で登場するラッセル・クロウは、歳は行ってるし、えらいマッチョでミスマッチもいいとこなのだが、徐々に馴染んでくる。ジェニファー・コネリーはこの役でアカデミー助演女優賞。ほかにポール・ベタニーが良い味を出す。なお、字幕で“Schizophrenia”は“総合失調症”と訳されていたが、これまでの呼称を使わせていただいた。