危険な関係
Dangerous Liaisons
- 1988 / アメリカ
- 監督
- Stephen Frears
- 出演
- Glenn Close
- John Malkovich
- Michelle Pfeiffer
- Swoosie Kurtz
- Keanu Reeves
- Mildred Natwick
- Uma Thurman
イギリスのRSCが上演したクリストファー・ハンプトンの戯曲を映画化。原作の小説は1782年にフランスの作家ラクロによって書かれ、そのスキャンダラスな内容から当時発禁になったという代物。1959年にはフランスでロジェ・ヴァディム監督によって映画化されている。
18世紀、フランス革命前夜のパリ社交界。メルトイユ侯爵夫人(グレン・クローズ)は、恋人のバスティード伯爵に捨てられた腹いせに、彼の花嫁候補セシル(ユマ・サーマン)の処女を奪うという奸計を巡らせていた。社交界きっての漁色家バルモン子爵(ジョン・マルコヴィッチ)にその役目を依頼するが、バルモンは貞淑な人妻トゥールベル夫人(ミシェル・ファイファー)に食指を動かしていた。
メルトイユ夫人とバルモン子爵とは、かつて恋人同士。この二人の恋の策略家が張り巡らした罠に、貞節な女性二人はまんまと引っ掛かるのだが、誤算だったのは、子爵がトゥールベル夫人に本気で恋をしてしまったこと。嫉妬したメルトイユ夫人は、子爵をも陥れようとして死なせてしまう。そして彼女は、社交界から締め出されてしまうのだった――
ゴージャスなセット、華やかな衣装など、細部にわたって目にも楽しいが、とにかく素晴らしいのは俳優の演技。舞台で上演された作品だけあって、とても演劇的なところが僕は好きなのだが、演じる役者もみな舞台経験のある人ばかり。グレン・クローズの巧さは溜め息が出るほど。台詞回しも緩急自在だが、何と言ってもラスト・カットの表情は圧巻。ジョン・マルコビッチの視線の配り方も見事。ミシェル・ファイファーは舞台経験こそないが、性格描写は的確。ほかにバルモン子爵に男の手ほどきを受け、顔が変わっていくユマ・サーマンが若いのに感心。