tuneful.jp

HOME > CINEMA >

リービング・ラスベガス

Leaving Las Vegas

1995 / アメリカ
監督
Mike Figgis
出演
Nicolas Cage
Elisabeth Shue
Julian Sands
Graham Beckel
Laurie Metcalf
David Brisbin

原作はジョン・オブライエンの自伝的小説。作者自らもアルコール依存症で、本作の映画化が決定した直後に自殺したと聞く。

picture

脚本家のベンジャミン・サンダーソン(ニコラス・ケイジ)は、重度のアルコール依存症。妻子に捨てられ、会社もクビになる。そこで彼は有り金をすべて持ってラスベガスに行き、死ぬまで酒を飲み続けようと決める。ベガスに着いたベンは、娼婦のサラ(エリザベス・シュー)を買う。ユーリ(ジュリアン・サンズ)という暴力的なヒモに怯えて暮らしていたサラは、ベンの優しさに心惹かれる。彼に酒を止めろと言わない条件で、二人は同棲を始めた。ベンも彼女の商売については口を出さない。だが、アルコールに蝕まれていく姿を見るのが耐えられなくなったサラは「医者に行って」と口にしてしまう。ベンは部屋を出て行き、サラは寂しさから自暴自棄になっていくのだった――

picture

ニコラス・ケイジがアカデミー主演男優賞を獲得。古くは《駅馬車》の時代から、精神異常者やアル中の役は、演技賞に近いところにいるらしい。この作品での彼は何が凄いって、とにかく不自然さが一切ない。顔の表情、目の動き、微笑み方ひとつ取っても、それが演技と感じさせないほど巧い。やたらに顔や目に力を入れるばかりの大根役者と比べれば、どんなに巧いかがよく解ると思う。残念ながら受賞は逃したエリザベス・シューだが、彼女がまた素晴らしい。ベンのような男でも寄りかからずにはいられない孤独や虚しさ、そしてまた健気な部分を痛々しいまでに体当たりで演じている。

切ないと言うよりは虚しさが立ち込めるラブ・ストーリー。ベンが死ぬ間際に結ばれるシーンは、あまりにも虚しくて気が滅入った。スローモーションの映像に、たっぷりワン・コーラスの音楽(選曲は良い)、ひたすら破滅へと向かう男女を見てるのは、僕には退屈だった。自分の好きな映画じゃないというのは、見る前からわかっていたのだが。それにしても、あんな強い酒をラッパ飲みって、僕なら胃潰瘍になって血を吐いちゃうよ。

↑ Top
←Back