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海猿

Sea Monkey

2004 / 日本
監督
羽住 英一郎
出演
伊藤 英明
加藤 あい
海東 健
伊藤 淳史
香里奈
國村 隼
藤 竜也

《踊る大捜査線 THE MOVIE》のスタッフが、佐藤秀峰の同名コミックを映画化。海上保安庁の全面協力を得て、訓練や水中のシーンのリアリティはさすが。

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広島・呉の海上保安大学校。海上保安官の中でもわずか1パーセントしかいない潜水士を目指し、50日間に及ぶ厳しい研修が始まった。仙崎大輔(伊藤英明)は主任教官の源(藤竜也)から、工藤(伊藤淳史)とバディを組むよう命じられる。劣等生の工藤に足を引っ張られながらも励まし合い、強い絆が生まれる二人。そんな矢先、海岸で溺れた人を工藤が助けようとするのだが――

見終わって、すぐに頭をよぎったのが「何だか《トップガン》とそっくりだったなぁ」ということ。軍隊で特に優秀な人材を育成するという設定だけでも共通している部分が多いのだが、厳しい訓練とその合間の私生活を織り交ぜた青春映画仕立ての描写も似通っている。さらに工藤の死で目的や自信を喪失してしまうストーリー展開など、ちょっとトホホなくらいそのまんま。有能だが衝動的に行動する主人公に対し、冷静沈着な優等生・三島(海東健)とのライバル関係の配置の仕方や、最後に理解し合うところ等々、完全にパクリでしょ? しかも環菜(加藤あい)とのロマンスの扱いが小さいのが、個人的には一層トホホ。

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まあ、それは置いといて。訓練シーンは実際の取材の元に再現されているらしく、出演者も相当過酷な撮影だったことが窺える。ものすごく急な階段を潜水装具を着けたまま駆け上がり、ボンベを背負ったまま腕立てをさせられたり、本物の錘を持ったまま立ち泳ぎをしたり、これには感服せずにはいられない。潜水士という職業がどれほど厳しいものかを、ほんの一端でも知ることができる。“海猿”とは、訓練の合間に羽を伸ばす彼らを揶揄した呼び名だが、それも宜なるかなである。

伊藤英明はコメディ・シーンでは良い味を出すのだけれど、青春、友情といった熱いものが、もうひとつ伝わってこない。今回は訓練生時代の話だが、続編も作られるようなので、そちらに期待したい。

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