ファミリービジネス
Family Business
- 1989 / アメリカ
- 監督
- Sidney Lumet
- 出演
- Sean Connery
- Dustin Hoffman
- Matthew Broderick
- Rosanna DeSoto
- Janet Carroll
ヴィトー・マクマレン(ダスティン・ホフマン)は、ニューヨークで食肉工場を営んでいる。泥棒稼業に身を置く父親ジェシー(ショーン・コネリー)に、子供の頃から悪事の片棒を担がされてきた反発から、自分の息子アダム(マシュー・ブロデリック)には道を踏み外さぬよう英才教育を受けさせていた。優等生のアダムだったが、型破りな祖父に憧れ、バイオテクノジー工場の研究品を盗み出して100万ドルの報酬を得る計画をジェシーに持ちかける。アダムを犯罪に巻き込みたくないとヴィトーは猛反対するが、息子を守るために自らも盗みに加担する――
で、犯罪に不慣れなアダムはミスをして捕まってしまうのだが、ドラマはここからが佳境。息子を救うためにヴィトーは自首し、ジェシーを告発する。過去の行状から主犯として懲役刑を食らうジェシー。そのことでアダムは父親ヴィトーを軽蔑し、口を聞かなくなる。父と子の関係はどうなっていくのか。
親子三代の愛憎と自立を丹念に描いてみせる。これは見る世代によって感じ方が違うだろう。息子や孫に粋なところを見せたい爺さん。息子には真っ当に歩んでもらいたいと型にはめて育ててきた父親。敷かれたレールからドロップアウトしたいと反抗する息子。アダムのやっていることが身勝手と思う人もいるだろうし、ヴィトーの独りよがりと思う人もいるだろう。僕は所詮ちっぽけな日本人なので、ヴィトーの親としての愛情から取ってしまう行動に共鳴せずにはいられない。言い訳せずにただ息子に謝る父親に、ちょっとだけがっかりしたけど。
シリアスな内容だが随所にユーモアを散りばめ、軽く軽く作ってある。サイ・コールマンの小粋な音楽と相まって、爽やかな後味。スコットランドやユダヤの民族性を強調しているのも興味深い。ハリウッドを代表する三人のスターが競演。ショーン・コネリーはかっこよすぎ。マシュー・ブロデリックはお坊ちゃんが似合い、ダスティン・ホフマンは本当に巧い。