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House of Flying Daggers / 十面埋伏
- 2004 / 香港、中国
- 監督
- 張藝謀 (Zhang Yimou)
- 出演
- 金城武 (Kaneshiro Takeshi)
- 劉德華 (Andy Lau)
- 章子怡 (Zhang Ziyi)
- 宋丹丹 (Song Dandan)
日本でもヒットした武侠映画《HERO》とほぼ同じスタッフが集結して作った作品。
唐王朝が衰退を始めた9世紀中頃の中国では、朝廷に反発する“飛刀門”一派が勢力を拡大していた。
捕吏の劉(アンディ・ラウ)と金(金城武)は飛刀門の壊滅を命じられ、遊郭で評判を呼んでいる盲目の踊り子小妹(チャン・ツィイー)が一味だと睨む。捕らえた娘を泳がせ、飛刀門のアジトを突き止めようと企み、彼女を脱獄させる。金は反動の浪人随風を装い、小妹と旅を続けるうち、二人はいつしか惹かれ合っていくのだった――
白眉は冒頭から15分ほどのシーン。もちろん立役者はチャン・ツィイー! 盲目の踊り子という至難の役柄で、得意のダンスを披露する。金城武の前では優雅に歌い踊り、その後にアンディ・ラウに所望されて、放つ石の当たった太鼓を耳だけで当てるというゲームで見せるアクロバティックな舞の迫力は圧巻。
その後の展開は、金と小妹がちょっと良い雰囲気になると追っ手が迫るというパターンの繰り返し。アクション・シーンはたっぷりと用意されているが、いささか冗長でマンネリな感じも否めない。
後半、大どんでん返しが用意されているのだが、あとからよく考えると、どうにもつじつまが合わない。小妹と劉が実は恋人同士ということだけれど、そうするとしょっぱなの二人の決闘シーンは何だったの?とか。
ラストに向けた終盤の展開もやや雑駁。何よりも話の引き金である飛刀門がほとんど絡まずに終わってしまうのだ。実は、これは出演予定のアニタ・ムイが亡くなり、追悼の意を込め代役を立てずに脚本を直したからだそうだ。
今回も画が美しい。とくに遊郭“牡丹坊”の色彩はことのほか美しい。チャン・ツィイーも美しく、活躍の場が満載で、ファンとしては大満足。金城武はちょっと二枚目半の中国青年を演らせたら最高にハマっている。アンディ・ラウはあまり得な役とは言えず、彼のファンは不満じゃないだろうか。