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メメント

Memento

2000 / アメリカ
監督
Christopher Nolan
出演
Guy Pearce
Carrie-Anne Moss
Joe Pantoliano
Stephen Tobolowsky
Harriet Sansom Harris
Mark Boone Junior

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“前向性健忘”という病気がある。出来事などの記憶を長時間保持できない脳の障害で、記憶喪失とは違い、発症以前のことは覚えているのだそうだ。この映画の主人公も同じ障害を負っている。

ロサンゼルス。保険会社の調査員だったレナード・シェルビー(ガイ・ピアース)は、強盗に妻を殺され、自身も殴られて負った傷がもとで前向性健忘となってしまう。妻の復讐に燃えるレナードだったが、新しい記憶が次々と消えてしまうため、ポラロイド・カメラで写真を撮り、メモを残し、重要なことは体にタトゥーを入れて、目的を見失わぬようにしていた。自分の書いたメモを繋ぎ合わせ、ついに犯人の男を殺したのだが――

ポラロイド写真が振られるたびに発色が褪せていく、という逆回しのカットで始まり、さっそく主人公が犯人に復讐してしまう。次にそこから時間が少しさかのぼって状況説明。さらに時間がさかのぼって・・・と、何回か繰り返すうちに映画の作りが見えてくる。冒頭の逆回しはそれを映像で諷喩してるというわけだ。

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時系列を前後にズラしたり、結末を先に見せて回想していく等の手法は、これまでもあったが、本作のように時間を少しずつさかのぼっていくというのは、また新鮮。それによって記憶を持てない主人公の「俺、今なんでこんなことしているんだろう?」という心境を、見ているほうも味わうことになる。さらに、レナードと似た症状のサミー(スティーヴン・トボロウスキー)の話を過去から順列に挿入し、ストーリーがぶつかる瞬間にモノクロが色を帯びる、という凝り様。脚本もよく、話のオチはかなり意表をつく。ただ、テディ(ジョー・パントリアーノ)がレナードに付きまとう動機が甘いのが残念。

ガイ・ピアースはセクシーで良いのだが、役柄としてはもう少し情けない感じのほうがリアリティが出る。モノクロ・シーンの夫婦役が素晴らしい演技を見せた。“メメント”とは、ここでは“記憶”という意味だろう。どことどこが繋がるのか、僕らの記憶力も試されているようで、頭の要る作品だ。

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