恋する惑星
Chungking Express / 重慶森林
- 1994 / 香港
- 監督
- 王家衛 (Wong Kar-Wai)
- 出演
- 林青霞 (Brigitte Lin)
- 梁朝偉 (Tony Leung)
- 王靖雯 (Faye Wong)
- 金城武 (Kaneshiro Takeshi)
- 周嘉玲 (Valerie Chow)
- 陳錦泉 (Chen Jin-Quan)
香港のファーストフード店を起点に、二組の男女の出会いを綴った話題作。オムニバス形式で2つのストーリーに絡みはない。
認識番号223の刑事モウ(金城武)と、常にサングラスをかけ麻薬の密売をしている金髪女(ブリジット・リン)が、偶然バーで出会い、別れるというエピソードが前半。
後半は、警官633番(トニー・レオン)に恋したフェイ(フェイ・ウォン)が、自分のほうを向かせようとする奮闘記が描かれる。
作品全体が少女漫画の実写化のような印象だった。主役の男たちがどちらも恋人にふられたばかりで、彼らのやることなすことがとにかくおセンチなのが要因だと思う。前半の話は一応ハードボイルド・タッチではあるのだが、パイナップル缶に願を掛けるだの、ジョギングで涙を蒸発させるだの、そこいらの無神経な男なら絶対に思い付かないような乙女チックな発想なのだ。演じる金城武は繊細で少し垢抜けしてない感じが良かった。彼は台湾生まれの日本人だそうで、劇中では広東語、普通語、日本語、それに英語まで操っていた。
後半は一層少女漫画チック。女の子は気持ちが告げられずに、思い余って彼の部屋に無断侵入し、自分好みに部屋を模様替えしてしまう。その突飛な行動(悪戯?)が可愛らしい。
男のほうは恋人にふられた悲しみを、石鹸やタオルに話しかけてみたり。
フェイ・ウォンは不思議ちゃんがよくお似合い。トニー・レオンも部屋の変化に気づかないニブチンぶりが母性本能をくすぐる感じ。
ママス&パパスの『夢のカリフォルニア』やフェイ・ウォンが歌う『夢中人』などがバックを彩り、ハンディ・カメラを多用した斬新な画作り。僕はちょっと喧しいと感じたが、ラストもソフトで、何と言うか女性受けしそうな作品であった。