華の愛 遊園驚夢
Peony Pavilion / 遊園驚夢
- 2001 / 中国
- 監督
- 楊凡 (Yon Fan)
- 出演
- 宮澤理惠 (Miyazawa Rie)
- 王祖賢 (Joey Wang)
- 吳彥祖 (Daniel Wu)
- 趙志剛 (Zhao Zhigang)
1930年代、中国・蘇州。栄華を誇る名家ロン家。ジェイド(宮沢りえ)は得月樓の歌姫だったが、ロン家の第5夫人として身請けされた。
当主の従姉妹で男装の麗人ラン(ジョイ・ウォン)は女学校の教師として自活している。阿片に溺れる主人に放っておかれるジェイドの孤独を、ランは足繁く屋敷に通い慰めるのだった。
次第に困窮し、没落するロン家。ついに暇を出されたジェイドは、幼い娘とランのもとに身を寄せる。だが彼女の体は徐々に阿片に蝕まれていた。
一方、ランは勤め先に派遣されてきたシン・ジーカン(ダニエル・ウー)という青年に夢中になる。ある日、シンと二人でいるところをジェイドに出くわす。それをきっかけにジェイドとランはあらためて二人の絆を確かめ合うのだった――
監督は《美少年の恋》のヨン・ファンで、今作では女性同士の耽美の世界を描いている。
宮沢りえがモスクワ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。感情を表に出さない役で、なおかつ北京語の台詞と歌は吹き替えなのだが、顔の角度や指の動きまでヨン・ファン監督の美意識を忠実に体現し、楚々としたその存在感が秀逸だ。
ジョイ・ウォンも熱演だったが、宮沢と向こうを張っては受けに回らざるを得ない。ダニエル・ウーはまたも抜擢されて綺麗な肉体を披露している。
美しい映画ではあったけど、正直、楽しくはなかった。
貴族階級の豪華な屋敷、庭園。贅を尽くした衣装や調度品。蘇州の情景。中国の伝統芸能である崑劇。同性愛、阿片、デカタンス・・・。見どころはと言うと、そういう外面的なファクターが先に立ち、登場人物たちの気持ちにはちっとも入り込めない。
映画の進み方も、特に前半は歌や宴会のシーンの合間に物語が少しだけ説明されていくという感じでじれったいし、崑劇は物珍しくこそあれ、予備知識のないまま見ていても面白いものではなく、ひたすら時間が長く感じるのだ。
ちなみに“Peony Pavilion”とは、崑劇の戯曲「牡丹亭還魂記」のことで、本作のモチーフになっている。