ミスティック・リバー
Mystic River
- 2003 / アメリカ
- 監督
- Clint Eastwood
- 出演
- Sean Penn
- Tim Robbins
- Kevin Bacon
- Laurence Fishburne
- Marcia Gay Harden
- Laura Linney
- Tom Guiry
- Emmy Rossum
ボストンのイーストバッキンガム。11歳のジミー、ショーン、デイブが路上で遊んでいると、警官を装った2人組の男がデイブを車に乗せ連れ去ってしまった。4日間監禁され乱暴された後、自力で脱出した。それから25年後、またも事件が起こる。ジミー(ショーン・ペン)の娘ケイティー(エミー・ロッサム)が何者かに殺されたのだ。捜査を担当するのはショーン(ケビン・ベーコン)。デイブ(ティム・ロビンス)も落胆するジミーを励ましたが、幾つもの不審な点を残すデイブは、容疑者として名前が挙がる――
ストーリー展開も映像も重厚で、きっちりと作ってあるなぁという印象で、演技陣もよく演っている。ショーン・ペンやティム・ロビンスはいかにも映画賞向きの人物設定で、たしかに複雑な心理状態を見事に演じていたし、作品自体も登場人物たちの心理描写を丁寧に撮っている。
物足りないとすると、デイブが受けた性的虐待の描写。あまり生々しいとツラいが、25年もトラウマになる恐怖感や絶望感が淡泊に映り、ミステリーの引き金としてはやや迫力とインパクトに欠けた。ゆえに「あの時自分が車に乗っていたら」と、幾度か口にするジミーとショーンが空々しく見える。
父親として、妻として、成長した大人として、様々な人が「人間は弱いものなんだよ」って語りかけてくる。その弱さが新たな悲しみを生み出してしまう。愚かしいものなのだ。僕は基本的に後味の悪い映画は好みじゃなくて、本作はそういう点で評価が低い。原作はデニス・ルヘインの同名小説。