交渉人
The Negotiator
- 1998 / アメリカ
- 監督
- F. Gary Gray
- 出演
- Samuel L. Jackson
- Kevin Spacey
- David Morse
- Ron Rifkin
- John Spencer
- J.T. Walsh
- Siobhan Fallon
- Paul Giamatti
- Regina Taylor
2時間19分という上映時間だが、最初から最後まで手に汗握りっぱなしで時間など感じさせない。人質立てこもり事件などの犯人の説得、交渉に当たるのが、タイトルの“交渉人”という職業。日本でも“ネゴシエイター”という言葉はずいぶん聞かれるようになったと思う。
シカゴ警察の警部補ダニー・ローマン(サミュエル・L・ジャクソン)はネゴシエイトにおける第一人者。仲間からの人望も厚かった彼が警察内部の不祥事に巻き込まれ、その犯人にでっち上げられてしまう。かつての仲間からも見捨てられたローマンは、汚名を晴らすために人質を取ってビルに立て籠もる。彼の要求は、同じシカゴの西地区の交渉人セイビアン(ケビン・スペイシー)を呼んでくること。同じ職業の二人が人質を巡って駆け引きをしていく――
元より僕らはローマンが無実であることを知っている。呼び出されたセイビアンもまた人質を第一に考える熱血漢。そんな“善”vs“善”の息を呑むやりとりに、ハリウッドお得意の派手なアクションあり、汚職事件の真犯人がどうなるのかなど、見どころがたっぷりだ。展開が多少強引なところもあるが、とにかくおしまいまで見る者を飽きさせない。
宣伝コピーには「IQ180の駆け引き」とあったのだが、残念ながらそれほどの頭脳戦や心理ゲームのようなやりとりはない。むしろ男のプライドといった無骨さが印象に残った。サミュエル・L・ジャクソンは頭脳明晰だがキレると何するかわからないというイメージにピッタリ。ケビン・スペイシーも文句なくハマリ役だった。こんなに時間が短く感じた映画は、近頃滅多になかった気がする。