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ペレ

Pelle the Conqueror / Pelle Erobreren

1987 / デンマーク、スウェーデン
監督
Bille August
出演
Max von Sydow
Pelle Hvenegaard
Erik Paaske
Björn Granath
Astrid Villaume
Axel Strøbye
Troels Asmussen
Karen Wegener

19世紀末のデンマーク。スウェーデンから移住してきた9歳の少年ペレ(ペレ・ベネゴー)と老いた父ラッセ(マックス・フォン・シドウ)。新天地への希望を抱いてやって来た彼らだったが、やっとのことで雇われた“石の農園”での生活は厳しく、過酷な日々が続く。

当時のデンマークにおけるスウェーデンからの移民に対する差別は酷い。その中でペレが次第に意志を持つようになっていく様が印象的だ。か細いながらも虐めに屈することなく、無謀にも極寒の海に飛び込んだり、父親を侮辱されれば誰彼構わず立ち向かう。一見同情を誘うが、そんなペレが自分より貧しいルズ(トレルス・アスムッセン)という私生児の少年に「いら草で100ぺんたたかせるから半クローネくれ」という取り引きに嬉々として応じる。彼の行動はヒューマニズムとも違う、虐げられたが故のモチベーションであり、欲望であり、それは豊かな日本で生まれ育った僕には、安易に同情も共感もできるものではない。

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ペレ少年が涙を見せる場面も印象深い。彼がこの地で唯一頼れるのは、文盲で年老いていく自分を嘆く父親。その父が首吊り用のロープを持ち出し、酒に溺れる姿を見て、目に涙をいっぱいに浮かべるのだ。尊敬する親の情けない姿は、子供にとってこれ以上切ないものはないだろう。

結構きわどいエピソードもあるのだが、あまりどぎつい描写はせず、流れていく生活と大自然の中の一風景として描かれていく。こういう作品を見ると映画って何なのだろうって考えてしまう。原作は、デンマークの文豪マーティン・アナセン・ネクセの大河小説「勝利者ペレ」

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