フィールド・オブ・ドリームス
Field of Dreams
- 1989 / アメリカ
- 監督
- Phil Alden Robinson
- 出演
- Kevin Costner
- Amy Madigan
- James Earl Jones
- Gaby Hoffmann
- Ray Liotta
- Burt Lancaster
- Dwier Brown
- Timothy Busfield
僕は小さい頃から野球が嫌いで、小学生の時には少年野球チームに入れられたこともあるけど、すぐに嫌になってやめた。親父とキャッチボールをしたこともあるが、楽しいなんて思ったことは一度もない。1919年のワールドシリーズで起きたブラックソックス事件と呼ばれる八百長騒動も、シューレス・ジョー・ジャクソンという選手も知らない。
だがこの映画は、“国の歴史の一部”とまで宣う野球好きのアメリカ人が、野球好きのためだけに作った映画ではない。見終わった後には僕みたいな野球に興味のない人間にも温かいものが残ったのだから。
物語はとても軽快に進む。主人公レイ・キンセラ(ケビン・コスナー)は“声”に導かれて、あれよあれよという間にトウモロコシ畑をつぶして野球場を作ってしまう。ここまでわずか15分余り。ゴーストたちが現れて楽しそうに野球をするのを、さも当たり前のように受け入れ、常識なら反対する立場であろう妻アニー(エイミー・マディガン)の大きな理解が、この映画を温かいものにしている。
父親とのエピソードがさらりとしか語られないので、すべてが父親とのキャッチボールに帰結するのが、僕には食い足りない気もするのだが、アイオワの美しい風景が本当はやはり天国なんじゃないかとさえ思える素晴らしい作品だ。
結果が常に最高とは限らない。どんな人も大なり小なりの「後悔」を持っていて、でもこの映画はその「後悔」をいつか誰かが(たぶん自分自身が)許してくれる、どんな癒しの言葉でもなくただ許される、そう思えてくるのだ。