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コーリャ 愛のプラハ

Kolya / Kolja

1996 / チェコ、イギリス、
フランス
監督
Jan Svěrák
出演
Zdeněk Svěrák
Andrei Chalimon
Libuše Šafránková
Ondřej Vetchý
Stella Zázvorková

1988年、ビロード革命直前のプラハ。チェロ奏者のロウカ(ズディニェク・スビエラーク)は、50歳過ぎの独身主義者。女好きだが、いつも金には困っていた。そんな時、ロシア人女性との偽装結婚話を持ち掛けられ、高報酬に釣られて引き受ける。だが、5歳になる連れ子のコーリャ(アンドレイ・ハリモン)を残して女は西ドイツへ亡命してしまい、秘密警察に偽装結婚を見破られないために、仕方なくコーリャと暮らすことになる。チェコ語しか使えないロウカは、言葉も通じずに手こずる毎日だったが、二人は次第に心を通わせるようになる――

申し訳もないのだが、僕は東ヨーロッパの歴史を全然知らなくて、ロシア人がチェコ人と偽装結婚したり亡命したりするメリットとかが解らず、何故いとも簡単に息子を置き去りにして行ってしまったりできるのか理解に苦しんでしまう。なので、ラストで母親がのこのこと迎えに来る場面に冷めてしまったりもする。
作品全体はロウカとコーリャの心の交流をメインに、ロウカのキャラクターさながらに軽く仕上げてあった。共産主義体制下での抑圧された雰囲気はところどころで描かれていたが、それよりも奔放に生活するロウカや周囲の人々が活き活きと見える。

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クライマックスは、コーリャがお風呂場でシャワーを受話器代わりにして涙ながらにおばあちゃんに「帰って来てよ」と呼びかける場面。言葉もろくに通じない異国で、唯一の身内であるおばあちゃんが実は亡くなったとも理解できずに「会いに行ったのに眠ってたね」とむせび泣く。ここでのアンドレイくんの芝居に驚くばかりなのと、それを見つめるスビエラークの優しい表情が切なくて切なくて、どっと涙が溢れてしまった。その後、ロシア語のできる女友達に電話でお話を聞かせて寝かしつけるスビエラークの計らいがさらに泣かせる。僕はロシア語など全くわからないけれど、朗読する女性の深く温かい声が染みる。作り手の優しさに素直に感動できる映画だ。

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