コレリ大尉のマンドリン
Captain Corelli's Mandolin
- 2001 / アメリカ
- 監督
- John Madden
- 出演
- Nicolas Cage
- Penélope Cruz
- John Hurt
- Christian Bale
- David Morrissey
- Irene Papas
- Viki Maragaki
- Piero Maggiò
イギリスのルイ・ド・ベニエールが書いた同名小説の映画化。第二次世界大戦中のイオニア海に浮かぶケファロニア島を舞台に、島の美しい娘とイタリア人将校との恋を描く。
医者の娘ペラギア(ペネロペ・クルス)は、漁師のマンドラス(クリスチャン・ベール)と恋仲だったが、彼はイタリア軍と戦うため出兵していく。島はドイツ軍とイタリア軍に占領され、ペラギアの家も宿泊地として提供を求められる。やって来たのはアントニオ・コレリ大尉(ニコラス・ケイジ)。マンドリンを背負い、人生を愛する屈託のないイタリア将校に、ペラギアも心を開いていくのだった――
ショーン・スロボの脚本は、人物の書き込みが足りない。何よりヒロインに共感できかねる。戦地より戻った婚約者マンドラスがレジスタンスになっていて、気持ちが離れていくという過程がまず理解できない。ニコラス・ケイジはマンドリンも特訓したようだが、僕はどうもこの俳優が陰気くさく思えて、音楽を愛する陽気なイタリア男に見えない上に、クリスチャン・ベールが結構かっこいいので、ペラギアが彼よりもコレリ大尉に惹かれるのが、ますます納得いかないのだ。
だが一方で、戦争の悲劇という点では重みがあった。占領する側、される側の揺れ動く気持ちがよく伝わってくる。物語中盤から戦況が複雑になり、いったい誰と誰が敵なのかを理解するのに戸惑ったのだが、見えてくるのは「敵」だから銃を向け「命令」だから殺すという人間性の黙殺だ。前半ではドイツ将校との心の触れ合いもあるだけに、イタリア兵の虐殺のシーンは涙なくしては見られなかった。
ところでこのシーン、腹心の部下(ピエロ・マッジオ)が身を呈してコレリ大尉を守り一命を取り留めるのだが、話の大きな繋ぎ目であるにもかかわらず、その理由が明かされない。それと最後の地震もかなり取って付けたようであった。これらもシナリオの甘さだろう。