ギルバート・グレイプ
What's Eating Gilbert Grape
- 1993 / アメリカ
- 監督
- Lasse Hallström
- 出演
- Johnny Depp
- Leonardo DiCaprio
- Juliette Lewis
- Mary Steenburgen
- Darlene Cates
- Laura Harrington
- Mary Kate Schellhardt
- John C. Reilly
アイオワ州エンドーラ。ギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)は24年間、町から出たことがない。18歳になる知的障害の弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)、動くことも儘ならぬほど太った母(ダーレーン・ケイツ)、二人の姉妹のために食料品店で働いている。ある日、旅の途中にトレーラーが故障し、立ち往生して町の外れに留まっていたベッキー(ジュリエット・ルイス)と出会う――
面白いか面白くないかと聞かれたら、正直、面白い映画ではなかった。行く先の見えない閉塞感に、鬱積していく主人公のやり場のない気持ち。それが終始付きまとい、愉快な気持ちにはなれないのだ。
家族って、ぬくもりであり、しがらみでもある。
どんなに酷い言動をとっても許してあげられるのが家族。やりきれない思いを弟にぶつけてしまい、自己嫌悪に陥っても、弟は無邪気に無条件に兄を許す。感情移入できる分だけ重すぎてツラいものがあった。
でも、だからこそギルバートは家族を見捨てられずに、息苦しい毎日を送っている。
そして母親の死。ラストはすべてに見切りを付け旅立つのだが、彼にとって母親は足枷だったわけで、そこから解き放たれるという締め括りに、家族って結局何なんだろうって思った。
原作は、劇作家ピーター・ヘッジスが書いた同名小説。
作品の見どころは圧倒的な風景の美しさと俳優陣の魅力だ。まずは弟役のレオナルド・ディカプリオ。役柄と同じ18、9歳らしいが、まさに天才的な演技力。それととにかく目を引くのが、母親役のダーレーン・ケイツ。役どころの境遇や言動に感じ入るところはなかったが、有無を言わさぬ説得力があった。テレビ番組からの抜擢だそうで、こういう素材を見つけて来ちゃうのが凄い。そんな二人に押されてやや受け身のジョニー・デップだが、言葉少ない主人公の心理と優しさを巧く表現していた。ジュリエット・ルイスはこれと言って魅力を感じなかった。