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2000-12-04 (Mon)

お国言葉を大切に

職場の女の子が突然、「あたし、今日から訛ることにすっから」と東北弁で喋り出しました。「だって、このほうが楽だし、自分らしいから」というのが動機らしいです。

地方出身の人は、田舎に帰ったり、同郷の人と話す時、自然とお国言葉になります。
僕は、生まれは東京、育ちもずっと横浜。訛りはいっさいありません(屁理屈を言えば、関東弁なのかも知れないけど)。だから、そんな僕から言わせれば、方言と標準語とを使い分けるなんて、極端な話、2ヶ国語喋っているようなもんだと思うんですよね。そして、それはものすごく羨ましいことなんです。

方言には、その地方の人じゃないとわからないニュアンスや感情が、アクセントや行間に籠もっているんですね。
今日、東北弁宣言をしたT.Mちゃんが「“えんずい”ってわかります?」と。
“なんかヤダ”とか“ムズムズする”みたいな言葉なんですって。でも、文字にしてしまうとやはり違うらしいのです。とにかく“えんずい”としか言い表せないそうですよ。理解できないのが悔しいですね。そして、彼女が羨ましい。

僕の母は熊本出身で、子供の頃から母上が電話口で熊本弁を話しているのを、よく聞いたものです。そんな母に“えんずい”の話をしたら、驚いたことに「あら、熊本でも“えずか”って言うわよ」と。熊本では“痛い”って意味で使うらしいのですが、もともとの意味はきっと一緒だったであろうことは、想像に難くありません。面白いもんですよねぇ。

美しい日本語とは、何も標準語だけに限ったことではありません。むしろ方言こそ、日本語の貴重な財産なのです。
せっかく温かみのある素敵な言葉を使えるのに、地方から東京に出てくると、わざわざ“関東弁”に変える人がほとんどですが、僕はそんなに意識する必要はないと思うんです。関西の芸人さんなんて、呆れるくらいに堂々と使っているじゃないですか。しかも、関西弁を話せることを誇りにすら思っている。
他の地方の人も、胸を張ってどんどんお国言葉を使って、大切な文化をちゃんと伝承していって欲しいと思いますね。

以上、標準語しか喋れない者からでした。

 

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