2000-06-09 (Fri)
オフィーリア
BSでシェークスピアの舞台「ハムレット」を放映していました。僕はシェークスピアの諸作の中でも、特にこの「ハムレット」が好きなんです。
・・・なぁ〜んて書くと、まるですごくシェークスピアに精通している人みたいですが、そんなことは全然ありません。単純に好きなだけ。
特にオフィーリアが錯乱してしまう場はいつも注目していて、演じる女優さんにとっても、手腕を問われるシーンだと思います。
以前、やはりテレビで放映していた舞台では、若き松たか子が溌剌と演じていたし、今日の放送は奥菜恵が演じていました。どちらも非常に可愛らしかったですが、僕がいちばん印象に残っているのは劇団四季の舞台で、オフィーリア役は野村玲子。彼女は、ほかの2人に比べると年齢が少々上だと思うのですが、その分思慮深く楚々としたオフィーリアで、錯乱の場はすごく説得力のある演技で、見応え十分でした。
いくつか映画にもなっていて、最近ではイギリスの名優ケネス・ブラナーが監督・主演し、オフィーリアはなんとケイト・ウィンスレット。
余談ですが、オフィーリアは錯乱した末に小川で溺れ死にます。このオフィーリアの死を題材にした絵画が結構多いんですよね。絵画は本当に不調法なのですが、ミレーの「オフィーリア」などはとても有名ではないでしょうか。
シェークスピアの戯曲の中では、ガートルードの台詞によってオフィーリアが亡くなっていく情景が語られます。この美しくも悲しい物語を、画家たちは放って置きません。視覚化した“オフィーリアの死”の何と幻想的なことか。