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ターンレフト・ターンライト

Turn Left, Turn Right / 向左走・向右走

2003 / 香港
監督
杜琪峰 (Johnny To)
韋家輝 (Wai Ka-Fai)
出演
金城武 (Kaneshiro Takeshi)
梁詠琪 (Gigi Leung)
關穎 (Terri Kwan)
陳之財 (Edmund Chen)

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台北のアパート。ヴァイオリニストのジョン・リュウ(金城武)と翻訳家のイブ・ツァイ(ジジ・リョン)は隣同士に住んでいたが、玄関を出るとジョンは右に、イブは左に向かって歩く習慣があり、お互い顔を合わせたこともない。ある日、イブは公園の噴水に誤って原稿を落としてしまい、居合わせたジョンが拾い集めてあげると、なんと二人は13年前に出会った初恋の相手だった。突然の雨で、電話番号を交換して別れたが、そのメモが雨に滲んで判読不能に。もう一度会いたいと願う二人だったが、相手からの連絡を待つしかないまま時は過ぎ、ジョンはウィーン、イブはアメリカ行きが決まり、台北を離れることになる――

台湾出身のジミー・リャオ「君のいる場所」という絵本が原作で、映画の雰囲気も非常に絵本的だった。始まりはイブが思い入れているポーランドの詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカ「一目惚れ」という詩で二人の恋を暗示し、出会いの場面を出来すぎ感たっぷりに反復の手法で見せ、すれ違う二人を鬱陶しいほど徹底したシンメトリーで描写していく。全体に敢えて“それはあり得ないだろう”的なメルヘンチックな演出が施されている。

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宮本武蔵とお通かと思うようなすれ違いの恋は、ともすると単調でじれったくもなるのだが、そこは香港映画。やけにテンションの高い二人(テリー・クワン、エドマンド・チャン)が主人公たちに横恋慕してきて、何かと引っ掻き回してくれるので退屈はしないのだが、ここいらもばっちりシンメトリーになっているので、各シークエンスのオチとか読めてしまう。でも二人の恋の結末だけはまったく予測不能だった。友達は大爆笑したらしいが、僕は唖然としてしまった。企画は良いのになぁ・・・というのが全体の感想だ。

ジジ・リョンは釈由美子似のスラリとした美人さん。演技も可愛らしく好印象だ。台湾出身の金城武が、台湾を舞台にした作品でわざわざ広東語で演じるのが不思議に思えた。

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