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ブエノスアイレス

Happy Together / 春光乍洩

1997 / 香港
監督
王家衛 (Wong Kar-Wai)
出演
張國榮 (Leslie Cheung)
梁朝偉 (Tony Leung)
張震 (Chang Chen)

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香港を離れ、地球の裏側ブエノスアイレスを舞台に、一組のゲイ・カップルが繰り広げる恋愛ドラマ。

1995年、アルゼンチンにやって来たウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)は、イグアスの滝に向かう途中で、道に迷い喧嘩別れになる。数ヶ月後、帰りの旅費がないファイは、バーのドアマンをしていた。そこへ白人の男性と現れたウィン。はじめは会うのを避けてたファイだったが、ある日、怪我を負ったウィンがアパートに転がり込んでくる。一緒に過ごせることに幸せを感じるファイ。だが、ウィンは怪我が治ると留守がちになり、やがて離れていった。ファイはもうやり直すまいと決意し、一人イグアスの滝へと向かうのだった――

奔放でわがままな恋人と、尽くし束縛し翻弄される相方。互いに求め合いながら咬み合わない二人が、別れてはやり直し、また傷つけ合う。内容はひたすらそれだけ。そんなどこにでも転がっているような恋愛模様は、そのまんまでは映画にならないので、いっそ男同士で作ってみました的な感じを僕は受けてしまった。ストーリーに同性愛であることの必然性や特異性がなく、ただ奇を衒ったという印象なのだ。

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要するに物語のプロットが弱い。絵になる街並みに二人の男前スターを配し、ムード満点のタンゴを流すので、あとは自由に感じ取ってくれ・・・みたいな。聴覚の鋭い台湾青年(チャン・チェン)を登場させて目先を変えてみるが、大して重要な位置付けは与えられず。結末も何だか投げやり。音楽の使い方は相変わらず洒落ているし、イグアスの滝の空撮は息を呑む壮大さだが、雰囲気だけで1時間半保たせるのはキツい。

主演二人は健闘していた。相手に対する心情が自然でリアリティを持たせてくれた。ただ香港の人は、常にあんなに大声なのだろうか。終始怒鳴っている感じが雰囲気重視の作品にはマイナスな気がした。

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