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マーサの幸せレシピ

Mostly Martha / Bella Martha

2001 / ドイツ
監督
Sandra Nettelbeck
出演
Martina Gedeck
Maxime Foerste
Sergio Castellitto
August Zirner
Sibylle Canonica
Katja Studt
Ulrich Thomsen

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ドイツ・ハンブルグ。高級フランス料理店でシェフとして働くマーサ(マルティナ・ゲデック)は、仕事ぶりは完璧なのだが、オーナーにカウンセリングを受けるよう命じられるほど、心に何かが欠けていた。ある日、遊びに来るはずだった姉が事故で急逝。残された姪のリナ(マクシメ・フェルステ)と一緒に暮らすことになる。マーサに打ち解けないリナは、食事もろくに摂らない。仕方なく仕事場に連れて行くと、同僚のイタリア人シェフのマリオ(セルジオ・カステリット)が作ったパスタを口にし、少しずつ心を開くようになる。しかしリナのためにも、やはりちゃんとした家庭が必要だと考え、イタリアにいる実の父親を探し出し、リナを引き取ってもらうのだが――

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ストーリーも登場人物もありふれている。舞台がフランス料理店の厨房というのは、日本のテレビドラマなんかでも見かけるし、ひょんなことから同居する二人という設定も目新しくはない。

仕事に絶対の自信を持ち、クレームを付ける客に食ってかかるマーサ。いかにもステレオタイプの30代キャリアウーマンだ。姪のリナは、無理に良い子にはならず、母親を失った寂しさをマーサにぶつける。腫れ物に触るように接するマーサとリナとの距離はなかなか近づかない。二人の気持ちをほぐすのは、これまた典型的なイタリア男。クールで几帳面なドイツ人と陽気で大雑把なイタリア人の図式。どこを取っても新鮮さに欠ける。

結末もまるっきり予想どおりだったが、同じようにちょっと疲れた30代の女性なら共感できるのだろう。あと、料理がね、高級フレンチよりもマリオの作ったイタリアンが妙に美味そうに見えるのがミソ。それもひっくるめて彼の魅力となる。演じるセルジオ・カステリットは良い味を出していた。エピローグが洒落ている。マーサのセラピスト(アウグスト・ツィルナー)にスイーツを作らせて、教えた材料を用いなかった彼に一言。「何を使わなかったかわかるわ」――やっと自分に足りなかったものが何かを見つけたようだ。

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