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世界の中心で、愛をさけぶ

Crying Out Love, In the Center of the World

2004 / 日本
監督
行定 勲
出演
大沢 たかお
柴咲 コウ
長澤 まさみ
森山 未來
山崎 努

朔太郎(大沢たかお)と律子(柴咲コウ)は同じ四国出身で、まもなく結婚を控えている。律子は引越の準備中に古いカセットテープを見つける。そこに録音された少女の声を聞き、ひとり故郷の四国に向かった。それを知った朔太郎も後を追う。

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1986年。高校生の朔太郎(森山未來)は、スポーツ万能で優等生の亜紀(長澤まさみ)と交際していた。カセットテープにお互いの気持ちを吹き込んで交換し合っていたが、ある日、亜紀は急性の白血病に冒されてしまう。朔太郎は、次第に病状が進む亜紀を、二人で行こうと約束したオーストラリアに連れ出す。だが道半ばで台風に阻まれ、亜紀は空港で倒れてしまう。それからしばらくの後、彼女は息を引き取る。

思い出の地をめぐり、残されたテープを聞くうちに、亜紀の死から逃げてきたことを痛感していく朔太郎。写真館を営む重爺(山崎努)は、だが、朔太郎の背中をポンと押してやるのだった――

片山恭一の同名ベストセラー小説を映画化。誰もが気づくと思うが、大沢たかおと森山未來が「よくぞ」ってくらい顔の雰囲気が似ていて、まずはキャスティングに拍手。その森山くんと長澤まさみの淡く、かつ劇的な恋模様が二人の熱演と相まって感動を呼ぶ。ここの出来が映画を大きく左右したと思うが、二人は合格だ。暖色と寒色を巧く使い、“現在”と“思い出”を視覚的に解りやすく作ってあるし、主題歌(平井堅)も含め音楽も良かった。

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ただ、原作を読んだ時にも思ったのだが、テーマである“愛する者への喪失感”に、僕自身、あまり共感できる要素がないのが難点。映画では律子を登場させ、“未来へ向かって生きる大切さ”を盛り込んでいるが、律子の存在にはちょっと無理が見えるし、下手に亜紀や朔太郎と結び付けて「さらに感動を」なんて小細工をしたばっかりに、ポイントをずらされてしまいかえって白けた。それにこの物語に2時間越えは長すぎる。あと、原作で朔太郎がお祖父ちゃんに旅行代を工面してもらうくだりが、唯一僕が読んで泣いたところなのだが、設定からしてすっ飛んでいたのが残念。

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