月の輝く夜に
Moonstruck
- 1987 / アメリカ
- 監督
- Norman Jewison
- 出演
- Cher
- Nicholas Cage
- Olympia Dukakis
- Vincent Gardenia
- Danny Aiello
ニューヨーク。イタリア系移民の中年未亡人ロレッタ(シェール)。ある日、友人のジョニー(ダニー・アイエロ)から求婚され、プロポーズを受ける。だが、ジョニーは母親が危篤で故郷シシリアに帰ることになり、「絶縁状態にある弟を結婚式に招待して欲しい」とロレッタに言い残して飛び立つ。パン工場で働く弟のロニー(ニコラス・ケイジ)に会うと、左の義手を突き出して「ジョニーのせいでこうなった」と嘆き、式への出席を拒絶。何とか話を持とうとロニーの部屋に上がったロレッタは、行きがかりでフィアンセの弟とベッドを共にしてしまう――
シェールがオスカーを獲って話題の映画だったが、僕には彼女の“良さ”とやらはあまり実感できなかった。前半はひたすら冴えない格好で出てくるので、オペラに誘われて颯爽とタクシーから登場するシーンなんか、たしかに「おっ」と思うが、かなりマイペースの嫌な女に見えるし、さほどのものでもなかった。
むしろ、シェールと同じくオスカーを獲ったオリンピア・デュカキスのほうが数段素敵。彼女とヴィンセント・ガーディニアの夫婦のやりとりは何気に興味深い。ひとつ引っ掛かったのが、“Men chase women because they fear death.(男は死への恐怖から女を追う)”っていうくだり。意味するところが解らない。種の保存とかそんな意味?カトリックの国イタリアの人が聞くと納得するのだろうか・・・。
結論を言うと、つまらない映画だった。原題はあまり馴染みがない単語だが、“月光に浮かされる”みたいなニュアンスだろう。男と女の摩訶不思議が、どでかい満月とプッチーニの《ラ・ボエーム》に乗せて繰り広げられるが、どちらのアイテムも意図不明。ロレッタがロニーと恋に落ちるところや、ラストの大団円は「はぁ!?」って感じなのだ。なんともグズグズのコメディで、アカデミー作品賞にノミネートされたことすら理解できない。