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8月のクリスマス

Christmas in August

2005 / 日本
監督
長崎 俊一
出演
山崎 まさよし
関 めぐみ
大倉 孝二
戸田 菜穂
西田 尚美
井川 比佐志

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韓国映画の中でも《八月のクリスマス》は僕が大好きな一本だが、日本でリメイクされたと聞き、期待と不安で作品を見た。ヒロインが警官から小学校の臨時教員になっていた以外は、ストーリーはほとんど原作をいじっておらず、台詞もずいぶんとそのまま引用してあった。

父親から譲り受けた写真館で働く鈴木寿俊(山崎まさよし)。ある日、近所の小学校で臨時教員として働いている高橋由紀子(関めぐみ)が、慌てた様子で写真の現像を依頼しにやって来た。その日以来、二人はたびたび顔を合わせては楽しく話すうちに、少しずつ惹かれ合っていった。
だが、寿俊には彼女に打ち明けていない秘密があった。彼の体は病に冒され、残された時間はわずかしかないのだ。とうとう寿俊は病院に担ぎ込まれ、そうとは知らない由紀子は写真館で寿俊が戻るのを待つのだった――

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映画は、見るときの気分や体調に大きく左右されると思うのだが、本作に関してはあまり没頭できないまま終わってしまった。どうもディテールや演出の違いばかりに目が行ってしまったのだ。
たとえば酒に酔った勢いで、ふざけたふりをして自分の死期が近いことを親友に打ち明けるシーン。オリジナル版では号泣してしまったシーンなのだが、ちょっとしたニュアンスの違いで、胸に迫るものが欠けてしまっていた。写真館のガラスを割るシーンでも、由紀子が石を拾うところを映したせいで、なぜかちっともグッと来なかった。
監督の長崎俊一は脚本も兼ねているが、時代も文化もそんなに変わらない作品をほとんど踏襲して、一体何がやりたかったんだろう? 改めて日本語で見たところで、特段新たな感動が湧くようなことは、残念ながらなかった。

主演の山崎まさよしが良かったのが収穫だった。まず台詞を言うときのセンスが良い。撮影場所が福井県の高岡市だったらしいが、言葉は標準語だった。普段は関西弁を使う彼だが、アクセントも下手な俳優よりきちんとしていて、《月とキャベツ》以来とは思えない役者ぶり。新人の関めぐみは何とか及第にしてもいいと思うが、親友・亮二役の大倉孝二は先述のシーンが酷くてガッカリした。

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